二成分系の相図[連続固溶体が平衡結晶する場合]

授業でやったのでまとめとして書いておきます。

まずは例として連続固溶体から。連続的固溶体というのは連続的にある成分が置き換わっていく固溶体のことです。

例として曹長石(albite)と灰長石(anorthite)の固溶体、つまり斜長石(plagioclases)について考えます。カルシウムにとむ斜長石が曹長石、ナトリウムにとむ斜長石が灰長石というわけですね。

(i)平衡結晶
まずはゆっくりと平衡状態をたもちながら結晶化することを考えます。例として図のXの組成と温度のmeltを冷やすことを考えましょう。この状態ではLq、つまり液体の領域にあるので当然(Ab:An)=(a:b)の組成を持つ液体ということになります。これを組成を変えないまま(変わる理由も無いですから)温度を下げていきます。そうするとT1の温度でLiquidus(液相線)とぶつかります(図のA点)。Liquidus上というのは液体が固体にちょうど変わる境界線、あるいは液体と固体が共存している領域となります。どうようにSolidus上というのは固体が液体ちょうど変わる境界線、あるいは液体と固体が共存している領域となります。相図の概略をしめしたものが上側の図になります。
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ではこのときでてくる固体の組成はどうなるでしょうか?相図上(下の相図)ではT1でかつ固体の領域となります。さらに制限条件として忘れていけないのが液体と固体が共存できる領域です。そうなるとT1とSolidusがぶつかるところ(図のA'点)ということになります。さて、ここでおもしろいことが起こっています。Xの組成から出発したのにそれとは異なる組成の固体ができています。連続固溶体が結晶化してでてくるのはつねにXとおなじせいぶんのものではないんですね。さて、ここで困ったことが起きます。物質の出入りがないわけですから全体の組成(つまり液体と固体全部を合わせた成分)はつねにXのはずです。ところが、XよりAnに富む固体ができてしまいました。これでは辻褄が合いません。そこでmeltの方の組成はそれを補うようにAbが増える方向に変化します。これはAnは固体の方に入りやすく、Abは液体に残りやすい考えることができますね。
さて、そのあと相図上ではmeltの組成と温度は液相線にそってAbのほうに向かいます。一方それにともなってでてくる固体の方は固相線にそって変化していきます。このまますすんでいくとちょうどBまで来た時(温度がT2になったとき)すべてが固体になることがわかります。(全体の組成としてはXなので固体の組成がXになったとということはもうmeltは残っていないので)こうして最終的にXの組成の固体ができて終わりです。
と、このように単純な二成分の理想的条件下の結晶化を考えただけでもいろいろな組成のけっしょうができることが理解できますね。