塩水の濃度をずぼらに求める計算テクニック

はじめに

重量パーセント濃度が低い溶液を作りたい場合は重量パーセント濃度を溶媒と溶質の比としていいという話です。 計算間違ってる気がするのでコメントなりで気づいた人は指摘してください。

料理ではn %の食塩水等の溶液をつくるシーンがしばしば登場します。しかし、重量パーセント濃度は溶液と溶質の重量比として定義されておりいささか不便です。もしこれが重量パーセント濃度を溶媒と溶質の比としていいならば話は簡単になります。これは許されるのでしょうか?今回はこれについて検証します。

随分まえに書こう書こうとおもって放置していた記事です。 下書きにあったので供養します。

証明

溶質の質量をa,溶媒の質量をbとします。 このとき,重量パーセント濃度 100n は定義から

 n = \frac{a}{a+b}

と表せます。これをa/bについて解けば

 \frac{a}{b} = \frac{n}{1-n}

となります。右辺をnについてマクローリン展開すると

 \frac{a}{b} = 0+\frac{2n}{2 \cdot 1}+O(n^{2})

n<< 1の時,2次以上の項を無視して

 \frac{a}{b} =n

を得ます。

実用性について

溶質の質量を計測する場合誤差 \delta aが生じます。両方の方法で求めたaの値の差 \Delta aが誤差以下なら十分実用的と考えられます(溶媒を測る際の誤差は今回は無視します)。あるbのときにどういったn の値なら許されるかを考えてみましょう。

 \Delta aは下記のようにかけます。

\Delta a= \frac{n^{2}}{1-n}  b

したがって条件式は下記となります。

 \frac{n^{2}}{1-n}  b \leq  \delta a

これを 0 \leq nという条件に注意して解の公式をつかって解けば

 0 \leq n \leq \frac{-c+\sqrt{{\delta a}^2+4b \delta a}}{2b}

という条件式を得ます。ためしに  1.0 \times 10^{3} gの水(つまり1 Lの水)を使うことを考えてみましょう。また家庭用の料理スケールの誤差は2.0 g程度らしいです。そうするとnの範囲は

 0.0 \leq n \leq 4.3 \times 10^{-2}

と 4.3 %程度の値になります。よくつくる海水の塩分濃度が3.4 %程度ですから、まあまあ実用に耐えると考えることができます。

まとめ

毎回、面倒だなと思っていた溶液の濃度計算も海水の濃度程度ぐらいなら実用的に溶媒と溶質の比としていいという話でした。日常生活でつかうことがないと思われていたマクローリン展開や解の公式なんかも案外役に立つものですね。