自宅コーヒー焙煎のすゝめ
この記事はCCS †裏† Advent Calendar 2024 - Adventar 1日目の記事です。
はじめに
どうもお久しぶりです。千葉大電子計算機研究会(以下CCS)、老害㌠いかろちゃんです。なぜかまだ博論を書きに大学に通っております。 さすがに新しい人に譲ろうと思ってここ数年は投稿を抑えていました。しかし、今年はまだ埋まってないようですので1日目の記事を投稿しようと思います。 しかし、締め切りである今日の終了まであまり時間がありません。こういうときに欲しくなるのがコーヒーです。ということで今年はコーヒーの記事を書こうと思います。特にここ1年半ほど私がはまっているコーヒー焙煎について書きます。下記のような豆が焙煎できるようになります。
コーヒーについて
飲料としてのコーヒーとはコーヒー豆からその成分を液体に抽出したものです。一般にはコーヒー豆から成分を抽出しやすいようにコーヒー豆を粉砕し、コーヒーの粉にしてから抽出を行います。 常圧でコーヒーの粉にお湯をかけて抽出するドリップコーヒーや、コーヒーの粉を水に浸して抽出する水出しコーヒー、高圧のお湯をコーヒーの粉に通して抽出するエスプレッソなど様々なコーヒーの抽出方法があります。抽出器具については現在はコンシューマ向けに多数の商品が販売されています。また、数多く抽出方法の解説が存在しています。そのため本記事では抽出方法については詳しく記載いたしません。 農作物としてのコーヒノキの果実(コーヒーチェリー)を収穫したらそのまま見慣れたコーヒー豆になるわけではありません。 コーヒーチェリーからこの抽出に至るまでには大きく下記の5つの行程があります。
- 栽培
- コーヒーチェリー収穫
- 生豆(なままめ)の精製
- 焙煎(いわゆるコーヒー豆に)
- 抽出
生豆の精製過程ではコーヒーチェリーから果肉と種を分離し種を乾燥します。こうして乾燥した種子が生豆です。しかし、単純な種というわけではなく、行程の途中で起こる発酵によって独特の風味が添加されます。さらに生豆を焙煎することで様々な化学変化・物理的変化が起こり、普段飲み慣れているコーヒーの風味を作り出します。今回の記事の中心となるのはこの焙煎過程です。
自宅コーヒー焙煎のメリット
具体的な焙煎の手順について説明する前に自宅焙煎のメリットについて書きます。ざっと思いつくのは以下の4つです。
- 好きな焙煎度合いで焙煎できる
- 焙煎から何日目で飲み始めるかを決められる
- 焙煎済みのコーヒー豆を買うより圧倒的に安い
- 楽しい
1については自分で自由に焙煎できるので焙煎済みの豆を買ってくるより圧倒的に様々な焙煎が可能です。特に近くの店や通販でなかなか扱っていない焙煎度合いの豆が欲しい場合は重宝します。私がやっててよかったと思うのはエスプレッソの伝統的なブレンドを作成するときです。伝統的なエスプレッソでは超深煎りの豆を使います。しかし、現代の流行は浅煎りのためなかなか超深煎りの豆は手に入りません。また、ブレンド中にロブスタ種という種類のコーヒー豆を使うのですが、これも流行から外れているためなかなか手に入りません。そのため伝統的なエスプレッソが飲みたい場合はほとんどの場合出来合いのエスプレッソブレンドを買うしか選択肢がありません。しかし、自分で焙煎することで好みのブレンドを作ることができます。
2については自家焙煎を売りにしている焙煎豆販売店で買う場合はある程度コントロールが可能ですが、それでもできたてを飲むことはなかなか困難です。おいしいかはともかくできたてから時間がたったものまでそのタイミングでのコーヒーを楽しめるというのはメリットです。
3は現金な話ですが結構安くなります。ある生豆だと2000 円/kgぐらいですが、これの焙煎済み豆の価格は5000 円/kgで売っていたりします*1。毎日ガバガバとコーヒーを飲むがおいしいコーヒーじゃなきゃやだという人にはとてもありがたいです。
4のこれがなんだかんだと一番大きいと思います。やはり自分でコントロールして好きな味を作り出す工程が楽しいです。また焙煎の条件をいろいろ変えてみるなどの実験も楽しいです。
コーヒー焙煎のはじめかた
次に実際にコーヒー焙煎をはじめ
生豆の購入 インターネットでいろいろなところで売っています。品揃えや品質がよく、個人でも買えるところとしては「海ノ向こうコーヒー*2」さんがおすすめです。一見業者向けですが会員登録すれば個人でも購入可能です。また、やや割高にはなるものの、1 kg単位などの少量での販売に対応しているというのもうれしいポイントです。
焙煎器具の購入
カセットコンロと片手鍋(蓋付き)があれば最低限の焙煎が可能*3です。カセットコンロは安全装置がついておらず、高火力のものがおすすめです。私は「イワタニ カセットフー BO-プラス」を利用しています。 https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/stove/cb-ah-41f/ なぜ安全装置がないほうがよいのかというと焙煎時は高温になるため安全装置が作動して火が止まりまともに焙煎できないためです。
また、楽に焙煎できる道具として手回し・電動焙煎機もあります。私は手回し式のユニオンサンプルロースターを利用しています。 www.tonya.co.jp
焙煎機で焙煎するときは300度程度まではかれる温度計があると便利です。
焙煎済みの豆を冷やす用のざるもあるといいです。強制的に冷やせる下記のような道具もあります。
コーヒー焙煎の方法
道具がそろったらいよいよコーヒー焙煎です。以下は私がユニオンサンプルロースターで行っている手順です。具体的数値はこちらに詳細に書いてあります。
焙煎釜の余熱 まずは焙煎釜を加熱します。計測方法や季節にもよりますがわたしはいったん210℃まで予熱しています。片手鍋でやる場合は余熱必要ないかもしれません。
生豆の投入 余熱が完了したら生豆を投入します。
弱火で加熱 まずは芯まで火が通るように弱火で加熱します*4。外だけ焼けて、中が生焼けになるとまずいです。このフェーズを水抜きと呼んでいる人たちもいますが、どんな加熱方法をしても水は抜けてるんじゃないかと思ってます。
火力を上げていく 途中から徐々に火力を上げていきます。最終的に火力MAXまでもっていっています。この工程でメイラード反応などを起こします。
1ハゼ
豆がある程度の温度に到達するとパチパチと音がしてきます。コーヒーの水分が一気に抜けて音が鳴っているらしいです。最初のハゼなので1ハゼと呼ばれます。また、一気にコーヒーらしい香りが広がります。この音がなっている間がだいたい〜浅煎りとなります。この範囲では生焼けになりやすいため難しい領域となります。
1ハゼが鳴り止む しばらくすると1ハゼの音がまばらとなってきます。この範囲は中煎り〜中深煎りとなります。この範囲で焙煎をやめると香り・苦さ・酸味のバランスのよい豆となりやすいです。
2ハゼ開始
ピチピチと音が鳴り始めます。なり始めは中深煎り、それ以降は深煎り、極深煎りとなっていきます。深煎り独特の匂いがしてきて、さらに煙がモクモクとでて目が痛くなります。場合によっては火災報知器も反応をはじめます。また、この範囲は変化がはやいため狙った焙煎度にするために注意深く観察・時間を計ることを求められます。程度にもよりますがいわゆる昔ながらのコーヒーらしい香りで苦みと甘みの強い豆となります。酸味はほとんどありません。
8 引き上げ 目的の焙煎度まで到達したらざるなどにあげ一気に冷やします。電動でない場合は団扇などで冷やすといいでしょう。温度が高いうちは化学変化が進んでいきますのでできるだけ早く冷やすことを推奨します。
まとめ
コーヒーの概略から自宅での焙煎のはじめかたまでを紹介しました。この記事を見て焙煎をはじめてみようかなという人が出てくれるとうれしいです。
*1:技術料・店舗代・機材代等々を含めるとだいぶ良心的かと思います。ぼったくりだというつもりは毛頭ありません
*3:片手鍋焙煎の詳細な方法は煎りたてハマ珈琲さんが動画をあげてくれています- YouTube
*4:原理については過去に1次元お肉を焼いて解説していますなぜ弱火のレシピを時短のために強火にしてはいけないか1次元お肉を熱伝導方程式で焼いてみる - まどろみの思考空間