ガウスの発散定理の直感的証明

地球物理学の授業で証明をしたのだが、式に頼っている感じでどうも納得がいかなかった。数学的に厳密というわけではないし、直感的というわけでもない。そこでもうちょっと直感的に導くやり方を書いておく。
ガウスの発散定理というのは
\int_{S} \bf{A} \cdot \bf{n}dS=\int_{V} \nabla \cdot  \bf{A} dV
というやつだ。

これは表面から出てくる総量は内部の各点からの湧き出しの和に等しいということを示している。これを素直に解釈して証明してえ行くという方針だ。

以下の図のようなA,Bで張られる微小直方体を考える。
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Aの座標はA(x,y,z),Bの座標はB(x+dx,y+dy,z+dz)だ。この直方体を囲む面をとりあえず\Delta Sとしておこう。この\Delta Sについての面積分は各面における面積分の和で表すことができる。そこで図のようにxy平面に平行とみなせる面\Delta S_1,面\Delta S_2をとる。まずはこの面積分から求めていこう。


\Delta S_1について単位法線ベクトルを\bf{n_1}とすると
 \int_{\Delta S_1} \bf{A} \cdot \bf{n_1} dS
=-A_{z}(x,y,z) dx dy
要するに定義そのままに直した感じだ。法線方向の成分つまりA_zだけ取り出して、それに面積(dxdy)をかけてる。ここでなんでマイナスになったのということだが、それは\bf{n_1}と反対向きだからだ。(下図)また、A(x,y,z)と一定と近似するのもかなり怪しいが、xy軸に平行とみなせるというふうにしてあるので一定として良い。
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同様に\Delta S_2について単位法線ベクトルを\bf{n_2}とし、計算すると
 \int_{\Delta S_2} \bf{A} \cdot \bf{n_2} dS
=A(x,y,z+dz) dx dy
となる。両方を足しあわせてあげると
\int_{\Delta S_1 + \Delta S_1} \bf{A} \cdot \bf{n_z}dS=(A_z(x,y,z+dz)-A_z(x,y,z)) dx dy
右辺にdz/dzをかけてあげれば
=\frac{A_z(x,y,z+dz)-A_z(x,y,z))}{dz} dx dy dz
ここで偏微分の定義より
=\frac{\partial A_z}{\partial z} dx dy dz
となる。

同様にx,yについてもしてあげてすべて足し合わせると
\int_{\Delta S} \bf{A} \cdot \bf{n}dS=
\frac{\partial A_z}{\partial z} dx dy dz +\frac{\partial A_y}{\partial y} dx dy dz + \frac{\partial A_x}{\partial x} dx dy dz
を得る。これはつまり
=\nabla \cdot  \bf{A} dx dy dz
まとめるとdxdydz =dVとして
\int_{\Delta S} \bf{A} \cdot \bf{n}dS=\nabla \cdot  \bf{A} dV
となる。

あとはSの内部にわたって足しあわせてあげるだけで右辺は体積積分になる。一方左辺はどうなるのかという話だが、こちらは隣合う面は法線ベクトルが逆になるのでキャンセルし合い、結局隣がない表面だけが残る。そうして
ガウスの発散定理
\int_{S} \bf{A} \cdot \bf{n}dS=\int_{V} \nabla \cdot  \bf{A} dV
を得る。